医食の料理人だからこそわかる 細胞レベルで上質な鹿肉、大槌ジビエとは

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医食の料理人だからこそわかる 細胞レベルで上質な鹿肉、大槌ジビエとは

大槌ジビエはMOMIJIが独自で定める捕獲方法、個体年齢、搬送方法や時間など、厳しい基準をクリアした鹿のみをあつかい、従来の肉質とは一線を画す高いクオリティをお約束しています。そのため、レストランやジビエ専門店での取り扱いも多く、全国の飲食店でMOMIJIの鹿肉を味わっていただくことができます。

 

中でも東京・府中にある[医食屋nobu。]は医食同源をテーマに、国産食材にこだわりぬいているお店。オーナーシェフの桑原伸悦さんはフランスやイタリアで星つきレストランでの修業経験もあり、日本国内のジビエも熟知していらっしゃるスペシャリストです。開業前から「大槌ジビエ勉強会」でMOMIJIクオリティを共に追求してきた大槌ジビエの仲間とも言える桑原シェフに、大槌ジビエの美味しさの秘密を伺いました。

 

ストレスのない鹿は、細胞レベルで上質な栄養をもっている

――まず、桑原さんが感じる、大槌ジビエの美味しさの秘密はどこにありますか?

 

桑原シェフ(以下、敬称略):まずMOMIJIの猟場がいいですよね。海と山が直結しているので風通しもよく、日照りもいいのでブナの木々も牧草地の状態もいい。ミネラル豊富なエサを食べて育った鹿たちは状態もよくのびのび育っています。その上質な鹿をストレスなく仕留めて、捕獲後1時間以内に精肉処理されるので、細胞レベルで完璧ですよ!

 

――「大槌ジビエ勉強会」ではどんなことをお話されていましたか?

 

桑原:僕のお店ある府中には東京農工大があり、野生動物研究の先生がいらっしゃいます。「自然肉のあるべき活用法」を一緒に議論させていただきながら、そこでの学びを勉強会でお伝えしました。ジビエに対する学術的視点と消費者的視点の両面をお伝えしながら、MOMIJIの現場で活かしてもらっています。

 

 

季節によって旨味が、個体によって味わいが変わる

――オーダーする際、部位や年齢などのリクエストはしていますか?

 

桑原:ハズレがないので、全てお任せしています。調理する側が忘れてはいけないのが、ジビエは家畜ではないので、一頭一頭肉質も違うということ。また、季節や気候などの自然要因でエサ自体が変わるので、匂いや水分量を自分で確かめ、見極めながら調理しています。

 

――季節によって味わいは変わりますか?

 

桑原:脂のノリが違います。夏の鹿は若草を食べて育っているので、幸せに満ち溢れた美味しさです。言うならばボジョレーヌーボーのようなフレッシュさが味わえます。秋から冬の鹿は厳しい冬を越すためにしっかりと栄養を蓄えるので、生きるための生命力ある脂が薬膳のような味わいになると感じています。野生ならではの違いやこうした世界観を伝えるのが、僕の仕事だと思っています。

 

 

ジビエだからと気取らず、季節の野菜と使い慣れた調味料で

ジビエだからと気取らず、季節の野菜と使い慣れた調味料で

 

――お店では大槌ジビエをどのようなメニューで出されていますか?

 

桑原:基本的にはステーキで出しています。鹿の骨からとっただしと、地場で採れた季節の野菜をピューレ状にしてソースにしたり、僕自身が大槌で感じたものと季節の移ろいを表現するようにしています。

 

――レストランでは、赤ワインソースや煮込みなどのイメージがあります。

 

桑原:ここでは“大槌で獲れた鹿肉”をそのまま表現しています。大槌ではフレンチのように赤ワインで煮込むことはせず、猟師文化の中で食されてきた鹿肉料理が基本です。僕はそれを体験してきているので、料理人として昇華してシンプルにお出ししています。

 

 

日常的には下味のついた加工品やスライスを、特別な日にはローストに

――初心者でも家庭で、美味しく大槌ジビエを楽しむコツはありますか?

 

桑原:塊肉をローストやステーキにするのは、火入れ加減が難しいと思うので、最初はスライス肉を焼肉や生姜焼きにするのが手軽でおすすめです。本当にジビエが初めてという方やお忙しい方には、調理済み加工品を買って家庭でリメイクすると失敗しませんよ。そこからさらに違った部位を楽しみたくなったら、特別な日のメニューに加えてみるとか。段階を踏んで、いろいろ試していただきたいです!

 

――なるほど! 加工品をリメイクするのは、初心者でも使いやすいですね!

 

桑原:山賊焼き生醤油糀は調理済みの下味がついたものが冷凍状態で届くので、野菜を切って一緒にフライパンで炒めるだけ。晩ごはんの一品にとっても便利です。僕は「大槌鹿のコク旨シチュー・スペシャル缶」に、モッツァレラチーズとたけのこを入れて揚げ春巻きにしたり、カルディのオニオングラタンスープの缶と合わせたり、ひと手間加えて家庭で楽しんでいますよ。

 

 

女性は鹿肉の栄養素に注目して、日常的に取り入れてほしい

女性は鹿肉の栄養素に注目して、日常的に取り入れてほしい

桑原シェフは兼澤代表と一緒にZIPで収録にも参加

 

――桑原シェフは「医食」という考え方を大事にされていますが、鹿の栄養価の高さにも注目されていますか?

*シカ肉はヘルシーな上、牛肉と比べると高たんぱく質、低脂質(6分の1)、エネルギーが半分以下。また、鉄分を多く含み、牛肉の2倍。イノシシ肉は、豚肉と比べると鉄分がおよそ4倍、ビタミンB12が3倍(農林水産省データより)

 

桑原:はい、僕は医学に基づいて食を探究しています。代替療法士と予防医学指導士の資格も取得して「医食」に真剣に向き合っていますが、鹿肉は女性に必要な栄養価がずば抜けて良いので、特に子育て世代の女性に食べてほしいです。

 

――この度、6月にお店の方も移転リニューアルされたばかりですね。

 

桑原:医食の勉強を進めていくうちに、一度、体の中を温めてデトックスをしてから、鹿肉を食べる方が、栄養の吸収が高まると考えました。鹿肉を食べる前に2階に併設したサウナに入ってもらってから、鹿肉を堪能してもらえればと。ぜひみなさんに体の中から元気になってもらいたいので、府中まで遊びに来てください。

 

――お忙しいところ、ありがとうございました!

 

日本各地のジビエを知っている、さらに医食を追求している桑原シェフだからこそ語れる、非常に貴重なお話ばかりでした。「季節によって味が変化する」という話も、家畜肉ではないジビエだからこその楽しみ方ですし、「女性が元気になるためには鹿肉を食べればいい!」というお話は非常に信憑性がありました。また日常的に鹿肉を取り入れるための加工品アレンジ術は目から鱗でしたね! 健康のためにも、社会課題のためにも、日常的に鹿肉が食卓に並ぶことを願って。そして、大槌ジビエを通じて「食」に対する考え方を、一人ひとりが捉え直すきっかっけになればいいなと思います。 

 

文/編集:飯田りえ 編集協力:しかくいまる

桑原伸悦(くわはらのぶよし)

医食屋nobu。オーナーシェフ

桑原伸悦(くわはらのぶよし)

1982年東京都出身。15歳でアメリカに単身渡米、住み込みで寿司店3年間働いた後、日本に帰国。調理師学校に入学し銀座や表参道で修業。さらに、フランスやイタリアの星付きレストランで腕を磨く。その後、帰国し飲食店のコンサルタントやメニュー開発などに従事するも、東日本大震災をきっかけに自分の料理を見つめ直す。美食を追求するのではなく、人が生きるためのエネルギーになるような食を追求したいと、2016年に府中で[Holiday]を始める。そして2022年6月に[医食屋nobu。][乳酸菌サウナaqua]として移転リニューアル。自身も狩猟免許をもつ。

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  • MOMIJIコラム編集部